絹の記憶とネギの香り🌸 坂東市めぐみの里さしま出店記
皆様こんにちは!女研ぎ師のKeyです。
今回は茨城県坂東市にあります農産物直売所めぐみの里さしまにお邪魔させていただいた2日間のご報告です。

昨年からお世話になり、今回で3回目の訪問となるめぐみの里さしま。
毎度たくさんのお客様にご利用いただき、今回も充実した忙しい2日間となりました。
嬉しいことに固定のお客様も増えてきて、インスタグラムや公式LINEを登録してチェックして来てくださる方もいらっしゃいます。
中にはいつも来てくださるお客様が受け取りにいらした時、
別のお客様が「包丁1本いくらですか?」と聞かれた際
「3本以上持ってきたら安くなるから3本持ってくると良いよ!明日までしかやってないから早く持ってきたほうが良いよ」と、
まるでうちのスタッフのように完璧に情報を把握して営業してくださるという、なんともありがたい場面も(笑)。
そのお客様は間もなく本当に包丁を3本持ってきてくださいました。
また、近隣の方からの「あそこの研ぎ屋さんは凄く切れるよ!」という評判を聞いて、初めてお越しくださる方も増えてきたように感じます。
こうして地域の話題の中に少しでも入り込めるのは、本当に嬉しい事です。
そして以前から気になっていたこの地域ならではの特徴。
それは裁ちばさみの刃研ぎ依頼が異常に多いことです。
他の地域では裁ちばさみの依頼を受けることすらない場所もあるくらいですし、受けても1日に数本程度なのに、ここでは毎回数十本のご依頼があります。
既に常連さんの中には会社で使われている裁ちばさみを持ってくる方も結構いらっしゃるので、ちょっとこの地域と裁ちばさみの関係性について調べてみました。
調べたところ、坂東市を含む茨城県西部地域は、かつて養蚕や絹織物などの繊維産業が盛んだった歴史があったようです。

そうした背景から現在でも手芸や洋裁などを趣味とする方や、それらに関わる仕事をしている方が比較的多く、裁ちばさみの利用頻度が高いのかもしれません。
現に、
縫製屋さんで布を切っている、
会社で紙器を製作する際に使用している、
畳屋さんで畳の布の部分(ヘリ)を切るために使っている、
神輿などの伝統工芸品を製造する会社で主に和紙などを切るのに使われている、など。
様々な用途で使われている裁ちばさみを研がせて頂きました。
そういった地域の特徴から、先代から受け継いだ裁ちばさみを個人的に使用している方もたくさんいらっしゃるようです。
良い裁ちばさみは永く使えるので、凄く年季の入った物をお持ちになる方も少なくありません。
前述の口コミで、「裁ちばさみを研げる研ぎ屋さんがいる」という噂が広まっているのかもしれませんね。
そして農家の方も多い地域ですので、鍬や鎌などの農機具や収穫用の包丁のご依頼も多くいただきます。
今回研いだ大きな包丁はネギの収穫用の包丁でしたが、研ぐとネギの独特の良い香りがしばらくの間漂い、なんとも言えない気持ちになります。

また、似たように大きな包丁で、蕎麦切り包丁をお持ちになる方もたまにいらっしゃいます。
蕎麦切り包丁はあまり鋭利な刃をつける必要がなく、刃がつきすぎてしまうと高価なまな板を傷めてしまうため、基本的にはお受けしていません。
刃先を軽くメンテナンスする程度で十分にご使用いただけるので、その旨をご説明しています。
今回は長期間放置していて、全体的に錆びてしまった蕎麦切り包丁をお持ちになったお客様がいらっしゃいました。

錆が酷く鋼の包丁部分に小さな錆穴を開けてしまっている可能性があったため、これを蕎麦切り用として元の状態に回復させるのは難しいことをお伝えしました。
しかしネギや野菜を切るために使用するのであれば研ぐことができるとご提案したところ、お客様は最近では蕎麦を打つこともほとんどなくなったとのこと。
もし今後蕎麦打ちをする際には新しい蕎麦切り包丁を購入し、この錆びた蕎麦切り包丁は野菜を切るために使いたいので研いでほしい、とのことでしたので、別の用途として包丁を再生させていただき、とても喜んでいただけました。

今回も坂東市の皆様の温かさに触れ、充実した2日間となりました。
めぐみの里さしまの皆様、そしてご来店くださったたくさんのお客様、本当にありがとうございました!
さて、明日からは
📅 開催日:5/17(土)〜18(日)
⏰ 時間:9:00~17:00 (18日は16:00受付終了)
📍 場所:道の駅グランテラス筑西
お近くの方、お気軽にお越しください。皆さまのお越しお待ちしております。
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